こんにちは、理塾です。
今回はちょっと雑談しますね。とはいえ、いちおう最後は勉強の話になっていますのでご安心を。
実は先日この私。大成中学校の近くを歩いておりましたら、「どうしたんだ!?」というくらいセミが鳴いていて驚きました。
大合唱というレベルではありません、悲鳴に近いレベルです。通りすがりのおじいさんに挨拶しましたが、通常「こんにちは」「はい、こんにちは」となるところが、「セミうるさいですね」「そうですね」になってしまいました。近所のおうちの方々は、テレビを見ていてもセミの声しか聞こえないんじゃないだろうか、と思うほどですが実際のところどうなんでしょう。
どうしようかと思いましたが、結局どうすることもできないので、諦めてしばらく鳴き声を聞いていました。そこで気付いたんですが、アブラゼミの声よりもクマゼミの声が結構多いんですよね。
<自然科学大好きな理系講師による即席セミ講座>
アブラゼミ
アブラゼミというのは、茶色い中型のセミで、ジージー鳴きます。
クマゼミ
クマゼミというのは、羽根が薄緑いろの黒い大型のセミで、シャンシャン鳴きます。
30年ほど前に自分自身が虫取り網を持って、小学校の裏山でセミ捕りをした時には、ほとんどがアブラゼミで、大型のクマゼミはほとんどいませんでした。ですからクマゼミは、いわゆる「アタリ」でした。虫かごは、いつも「ジージジジー」とアブラゼミの大合唱をしていたものです。ツクツクボウシはとても小さい反面、まず捕れないため、これはそもそも目を凝らして見ても樹上で発見しにくく「超アタリ」でした。ツクツクボウシが捕れないのは今も昔も同じとして、クマゼミが増えてアブラゼミよりも多くなっているようだぞ?ということに、鳴き声をふと耳にして気付いたのです。 これは昔聞いたセミの鳴き声とはちょっと違うぞ・・・、と。
こうなると、実際に樹上に目を凝らして見てみようという気になります。すると、木にとまっているのはクマゼミばかり。地面付近に目をやり抜け殻を探しましたが、クマゼミの抜け殻が多いことに気付かされます(クマゼミの抜け殻は手の部分が太い)。
どうしてアブラゼミが減り、クマゼミが増えたのでしょう?
基本的に昆虫は、自然界では個々としては弱い存在であり、数量で種の保存を狙う傾向にあります。よって、その数量は「発生しやすい条件に恵まれる」ことと、「捕食されやすい条件に曝されにくい」ことと、「競争関係にある他の種よりも有利になる」ことで、個体数が増える方向で変動するものですが、セミはあれほどうるさく鳴いて自分の存在場所を明らかにしているのに、そうそう捕食されるところはお目にかかれません。ツバメなどが巣にいるヒナにエサを与えている微笑ましい映像でも、そのほとんどのエサは何らかの幼虫であり、セミであることはありません。もしかして、セミってそれほど捕食者にとっては人気がないんですかね。自分は喜んでセミを捕まえていたわけですが、自然界においてあんまり人気者ではないセミにそれほど傾倒していたのか?と、今さらながら気付かされたようで悔しくもあります。話を戻しますが、そもそも、アブラゼミだけが捕食されやすく、クマゼミが捕食されにくくならないと、クマゼミの個体数が増えた理由は説明できませんから、この路線である可能性は低そうです。そうであれば、発生条件や他の種との競争で勝っていることなどが大きく関係していそうですが、いろいろ考えてみても、そもそもセミにそれほど詳しくないので、原因については想像できませんでした。もしかすると、クマゼミが好む樹木が街路樹とかに増えたのかな・・・?
調べてみると実際に大阪府では「クマゼミ99%」という大繁殖をしており、アブラゼミがほとんどいなくなってしまったとのこと。『増えた増えたクマゼミ増えた』とはいえ正直ちょっと増えすぎです。1%しかいなくなっちゃうなんて、アブラゼミが可哀想。クマゼミの一方的なコールドゲームです。
まぁ昆虫の世界は、そんなものかも知れませんが。もうちょっとクマゼミに分別というものがあれば、と思います。
理由もちゃんと推測されており、「温暖化によりクマゼミの幼虫の孵化が梅雨頃になり、雨の影響で捕食される可能性が減ったこと」と「クマゼミの幼虫は他のセミよりも固い土でも掘り進む能力が高く、最近の路地の固い土だと有利になっていること」が原因とのことです。
なんでも気付こうと思えばいろんなテーマが発見できるものですし、興味を持てばいろいろなことが調べられます。
夏休みは、こういったフィールドワークが楽しい最高の時期です。勉強するのも大事ですが、勉強机にかじりついているだけでは、こういった視野を育むことはできません。目の前にある課題を解決していくことだけではなく、どんなことでもいいので自分の興味が湧いたことに対して自分なりの推論を展開したうえで、納得がいくまで調べましょう。
セミについての自由研究をされる方は、ぜひぜひヒントにしてくださいね。